Interview

2023.06.27

自分の体に起こっていることを受けとめ、ポジティブに生理と向き合う

PR / ディレクター

半井 梨佳さん(33歳)

フリーランスPRのリカさん。デザインやマネージメントのスキルを活かしながら、ファッション、フードを中心に仕事の幅を広げています。イラストレーターのパートナーと小学生の男の子の3人家族。最近の趣味はボクシングとサーフィン。毎日をアクティブに生きているリカさんに話を聞きました。

リカさんのキャリアについて教えてください。


ーフリーランスで働き始めたのはいつからですか?

美大を出たあと、最初は制作会社でデザインの仕事をしていました。その後、アパレル系のPR会社に勤務していたのですが、妊娠がわかったと同時に、フリーでやってこうって思って会社を辞めました。自分でPRの仕事をしていきたいと思ったのが今のキャリアを始めたきっかけですね。

ー自分でやりたいと考えたのは?

自分の力を試してみたかったんです。あとは、ライフワークバランス。誰かに使われたりとか、誰かにコントロールされるのがすごく嫌だったから、個人と直接仕事をしてくれる人と仕事をしたいっていう気持ちが強くなったんだと思います。

ーフリーランスになってから変化はありましたか?

最初はやっぱりすぐには仕事を得られなくて、友人とか知人とか繋がりがある人に仕事が欲しいという話もたくさんしてました。そのうちに、だんだん「じゃあ、手伝ってよ」と声をかけてもらうことも多くなっていった感じですね。仕事がない時期は辛かったけど、どこかにまた就職したら結局以前と同じだし、対個人の付き合いがしていきたかったんです。

失業手当が出ている期間は、子ども連れてマザーハローワークに行ってました。でも、私の性格とか身なりもあって「あなたが活躍できそうな仕事はないわね」って言われてしまったり(笑)。

ー出産後すぐは、大変な時期だったんですね。

そうですね。仕事もお金もなくて、子育てもしないといけないストレスもありました。子どもはかわいいんだけど、この子のせいで仕事できないみたいな壁にもぶち当たって。でも、それでもがいてるうちに突破口が見つかったというか、「仕方ないか」って吹っ切れた瞬間があったんです。

ー吹っ切れたきっかけは?

子どもが保育園に入れてから少しずつ仕事がまわり始めたというのが一つです。もう一つは、子どもがいる状況を自分が受け入れられたことです。子どもが生まれる前は、子どもが生まれてもこれまでと同じパフォーマンスで仕事ができると思ってたんだけど、できなかったんですよね。「できない」ことを自分で認めたというか。そうしたら気持ちが少し楽になってきたんです。当時、プロジェクトの企画案を出す仕事をした時に、アイデアが全然まとまらなくて、子育てと生活、仕事のバランスがうまくいかなくて、結局提出期日に間に合わなかったんです。ダメだって自分を責めたりもしたんだけど、この失敗があって、私の中で子どもがいる状況を受け入れることができたんです。以前のようにはできないんだってことを知ったというか、思い知ったタイミングだったんですよね。

リカさんの生理について教えてください。

ー初めて生理が来たのはいつですか。

中学校1年か2年生頃です。

ーその時の状況は覚えていますか?

家で、トイレに行ったら茶色いものが出てきたから最初は便が漏れたのかと思いました。でもなんとなく生理というのは知っていたから「ママ!生理来たかも!」と伝えました。

ー生理になったとき、どんな気持ちでしたか?

よく覚えていませんが、恥ずかしかった記憶はあります。中学生で、急に大人になったっていう感覚もなくて。家にいるし、働いてないし、それなのに大人の仲間入りだねみたいな。中学生の当時の自分は、まだ自分は子どもであるべきだというか、子どもとして過ごすべきだって思っていましたね。

ー大人になることへの躊躇があったのでしょうか?

大人の女の人の体になってしまったことに対して、なんかすごく恥ずかしかったのを覚えています。男の子と女の子っていう完全な違いがまだあんまりない状態の段階で、生理も含めて突然恥ずかしくなるというか。たとえば、胸が大きくなるとか、脇毛が生えるとかも、ちょっと恥ずかしいし嫌だなって思っていました。まだ子どもでいたいみたいな気持ちがあって。

小学校6年生の時に、仲良くしている女の子がぱって手をあげた時に脇毛が生えてるのが見えて、それがなんかすごいショックに感じたのを覚えています。お姉ちゃんとかがいたらもっとナチュラルに受けとめていたかもしれないですね。

一方で、生理になった時は恥ずかしいだけじゃなくて、嬉しいという気持ちもあったかも。私は生理来るのが人より遅かったと思うので、周りがもうみんな来てるのに自分だけまだという状況だったから、喜びみたいなのもあったと思います。

ー生理が来たことを親以外の人に話しましたか?

生理が来た翌日に女の子の友達に話しました。そしたら「リカが生理になったって!」という反応から、近くに座ってた男の子にも伝わってしまって。で、ヤンキーっぽいやんちゃな男の子から「おめでとう!」って言われたんですよね。恥ずかしかった記憶はありますね。なんかそれはすごい覚えてます。

ー親はどんな反応でしたか?

大きなリアクションというよりは、母は「あら、おめでとう」というさらっとした感じでした。「お赤飯炊く?」と聞かれたけど、私は当時お赤飯があんまり好きじゃなかったから、やらなくていいと言った気がします。あとは、お祝いするということに対して少し恥ずかしさもあったのかも。

私の家族は、そういうことに対してあまりオープンではない家だったんです。性教育の本がひっそりと家に置かれていて、私はそれが嫌でしたね。性に対してとても恥ずかしいという思いがありました。

ー特別なお祝いはしましたか?

私がお赤飯はいらないと言ったので特別なことはなかったです。お赤飯の話は、なんで生理が来てお祝いなのか、なんでめでたいのかっていうことをきちんと説明されれば「恥ずかしいことではないんだ」ってわかると思うんです。生理が来ることは、子どもが産める体になったということで、だからめでたいってことなんだよ、と親がちゃんと教えてくれれば理解できるじゃないですか。恥ずかしいことではないと思えれば、「おめでとう」に対して素直に「ありがとう」と言えますよね。察するみたいなのも、嫌だなって思います。体が成長して大人になってることはすごく喜ばしいことだよ。だからおめでとうなんだよって言われたら「あ、そうなんだ。ありがとう」と思えるんですが、そういう説明がない中で、みんな察するというのは違和感がありました。私だったら、やっぱりきちんと説明して欲しいです。

ー学校での性教育について覚えていることはありますか?

学校の保健体育の時間です。きちんと覚えてないけど、男女一緒に何かの映像を見た記憶があります。

ー生理用ナプキンについて知っていましたか?

テレビのCMで流れていたと思いますが、私は、ずっとオムツだと思っていました。映像の液体も青いし。当時はなんのためにあるのか疑問にも思わなかったです。

家のトイレにナプキンがあるのは知っていました。小学校の時に、家のトイレの中に血みたいなのが残っていたんです。その時は、「ママが吐血した!?」とか血尿を出したのかと思ってすっごく心配したのを覚えています。母に大丈夫か聞いたら、「大丈夫なのよ、いいのよ」ってだけ言われて。

ーわからない子どもからしたら心配になりますね。

そうですよね。たとえば、今の私だったら子どもにきちんと理由を説明してると思うんです。これは生理の経血であって、病気じゃないってこととか。だけど、母はたぶんわからなかったんだと思います。私はそれに対して一切説明を受けなかったから、とても心配でした。

ー生理用品はどのようなものを使っていましたか?

母が好んで使っていた生理用ナプキンが自分の肌に合わなくて嫌だなって思っていた記憶があります。 メーカーも色々ありますが、当時、ザラザラのナイロンぽい素材のがあって、母はそれを使っていましたが、私には合わなくてかぶれてしまったので別のメーカーのを選んでいました。

ー10代の頃、生理の症状はどうでしたか?

生理が辛いと思ったタイミングは、高校生の夏ですね。辛い時と辛くない時が交互に来るような。卵巣は2つあるから交互に排卵するでしょう。だから、どっちかから出る時が辛いとすると、2ヶ月に1回辛い。だから、たぶん私は毎月辛いわけじゃないから、生理の症状としては辛くない方なのかな。辛い時は市販の薬を飲みます。

ー現在、生理の周期は決まっていますか?

安定している方だと思います。昔は、生理周期アプリがなかったので、大体ざっくりこのタイミングみたいな感じでなんとなく測っていましたが、今はアプリで記録しています。

ーアプリは何を使っていますか?

ルナルナです。ほぼ記録の周期の通りに生理が来ます。

ー生理の期間と量はどれくらいですか?

期間は、1週間くらいです。1日目から結構経血がある時もあります。2日目が多くて、3日目以降は減っていって、完全に終わるのまで1週間くらい。量の多さは正直わからないです!人と比べてないので。

ー生理の時、感情の面で変化はありますか?

普段気に止めていないことがスルーできなくなったり、ちょっとイラつくことはあると思います。生理前に感じることが多いかな。イライラするな、と思ってはっと気がついたら生理が来て、ああだからか、というのはありますね。ただ、私の場合は、コントロールできないほどではないですね。ベースの性格が激しい方だから、普段とあんまり変わらないというだけなのかもしれませんが(笑)。イライラすることに対して理由は全てありますね。だから、理由もなく落ち込むとか、理由もなく上がらないとかネガティブになることはないです。

ー現在、生理用品はどんなものを使っていますか?

紙ナプキンをメインに使っています。吸水ショーツとナプキンを一緒に使っていますが、多い時は、紙ナプキンが一番便利ですね。吸水ショーツは、量が多い日に漏れないように併用して使ったり、生理になりそうっていう時に使うのはいいですけど、1日同じショーツつけているというのはなんか気持ち悪いのでやらないです。あと洗うのがめんどくさいから、使い捨てが一番都合がいいです。

美容に詳しい友人から月経カップについて聞いたこともあります。指汚れるよね?と尋ねたら、汚れるけど、1日付けっ放しにできるから便利と言うのでなるほどと思いました。私は1、2日程度のことだから紙ナプキンでいいかって思ってしまうのですが。ただ、サニタリーショーツはアウターに結構響くからそういうのが嫌な場合とか、スポーツをしている人にはいいのかもしれないですね。

生理中の友人に対して思っていたこと

今は、生理って自分の体として付き合ってるものみたいな感覚があります。年齢重ねてるからそう思えているのもあるかもしれません。たまにサーフィンに行きますが、ちょうど生理の時にあたってしまうこともあります。私は大体タンポン詰めて、薬飲んで行けば大丈夫なことが多いのですが、先日一緒に行った友人で生理の子がいて、その子は辛すぎて結局サーフィンできなくて、車の中でずっと寝ていたということもありました。

ー重い症状の人は本当に辛いですよね。

学生の時は、プールとか海行く時に「今日生理だからごめん」て断る友人に対して、せっかく予定合わせてみんなで行くんだからタンポン詰めればいいじゃん、1日くらい薬飲めば大丈夫じゃんって思っていました。でも、今思うと当人は本当に大変だったんですよね。タンポンが合わない人もいるし。若い頃は、辛い人が本当に死ぬほど辛いんだってことを知らなかったんです。

ー出産前と出産後、体の変化で感じることありますか?

20代半ばくらいまでの方が、生理痛もパンチがある痛みを感じたことが多かったかもしれません。出産後の方が、痛みについては軽くなったようにも感じます。生理の軽い重いの基準がちょっとわからないですけど、すごく気が重いとか、何もできないみたいなことはあまりないですね。ただ、眠くはなってしまうかも。寝てるのに眠いな、というのは生理の影響のように思います。

ー気持ちの部分での変化を感じたことはありましたか?

生理とか、自分の体のことをそういうものだと受け入れられるようになったのは産後です。以前から、生理に対してそれほどネガティブな、恥ずかしいイメージはないですが、隠語ではないけれどあまり大きな声では言ってはいけないもの、みたいな感覚はありました。「うんこ」と同列で、なんとなく声を潜めて話すようなことで会話に出すものではないというか。でも、産後にいろんなことが吹っ切れて、今は公共の場で大声で叫んでも恥ずかしくはないです。実際はやらないですけど。

妊娠すると、何週間かに1度産婦人科に行っていつも股開いて検査して、最終的にそこで出産するっていう経験をするんですよね。それが結構色々吹っ切れたいいきっかけではあったと思います。その意味で出産の経験てすごいのかも。

生理の症状が辛かったり、調子が悪いなと感じたら婦人科の診療を受ける方法もあります。

ー婦人科を利用することはありますか?

私自身は、生理を理由に婦人科にかかったことはないです。恥ずかしいとかではなく、診察してもらうのに股を開くのが嫌というか、あまり好きじゃないというのは前から思ってます。それは今も変わらないですね。

ーお子さんと生理について話すことはありますか?

お風呂に入る時、子どもには「生理だから今日一緒に入れない」って伝えてます。それで、子どもが「なんで?」って聞くのをきっかけに、「ママ生理でお腹痛いから今日は入れない」と説明してます。女の人は血が出る期間があって、お腹痛くなる時もあるから、その時は優しくしてねって話したりしています。

生理だけではなくて、性に対しての説明は大事だと思います。たとえば、うちの子どもは男の子ですけど、性器に対して思ったこととか、「おちんちん固くなっちゃった」とか言ってくるんです。その時に、なんとなく誤魔化すんじゃなくて、こういう理由で固くなるんだよ、というのをちゃんと説明すれば別に恥ずかしいことでもないし。ふざけたりとか恥ずかしいと思って大人が隠すと、「あっ、恥ずかしいことなんだ」って子どもが思ってしまうんじゃないでしょうか。私は、もっと普通に説明すればいいと思ってます。

ーリカさんは、生理と軽やかに付き合っている印象があります。

そうかもしれません。このインタビューの話も、そんなに重くみんな考えてるのか?って正直驚きました。私としては、生き物として必要な現象で、自分の体に起こっていることとしてそのまま受けとめてるみたいな感じだったので。でも確かに、理解は必要だと思います。理解はするべきだけど、自分としてはそれほど重い問題として捉えていなかったです。

ー男性にも生理について知ってもらいたいと思いますか?

男性も、理解はした方がいいんじゃないかと思います。人によってはしんどい人もいますし、生理用品を都度取り替えないといけないめんどくささとか、トイレに行きたくなくても行ってナプキン取り替えないといけないとか、漏れてないか心配したり、ハラハラしたり、汚れたものに対してのケアとか、考えたらいちいち大変ですよね。そういうことと、女性は随分付き合ってるから、慣れてる面もあるかもしれないけど、毎月やってるんだよというのはありますよね。

妊娠中と産後しばらくの間は生理がなくて、その期間はとても楽でした。だから、生理があるのとないっていうのは明らかに違うんだと思います。逆に女性がないものを男性が持ってる場合もあって、それはお互いに理解する方がいいし、知識として知っておくべきことだと思います。生理だけじゃなくて、自分とは違う異性の体が、生理前、生理後、妊娠中、産後までこんなに変わるものなんだというのも男性は体験としてはわからないですよね。知っておけば気遣えるようになるから、お互いに知っておくことは絶対必要だよなって思います。私からしたら男性は宇宙人です。息子の体のこともわからないことがたくさんあるから、ネットとかですごい調べたりしますよね。

このインタビューの記事もそうですけど、女性だけが考えていても進まないなと感じるところはあって、男性に知ってもらえた方が絶対いい。女性は自分の体のことだし当事者だから一生懸命動くけど、男性はそもそも興味がない人が多数だと思います。この課題については、女性は当事者で困ってるけど、男性は実際あんまり困ってはいない。だから意識されないというか。その意識を変えられたら、とても意義があるんじゃないかと思います。知ったり、知らなかったことを受け入れられるきっかけになるんだったら、とてもいいのかなと思います。

※語り手の年齢、所属、生理の症状など掲載内容は取材当時のものです。

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