2023.05.05

気持ちを整理したい時は、
書くことで感情を流し出す
コピーライター
Haruさん(31歳)
今回のインタビューは、広告制作会社でコピーライターとして勤務されているHaruさんです。大学では国文学や日本近代文学を学び、書くことがとても好きなのだそうです。生理の症状は身体的には軽めかもしれないけれど、感情的には辛さもあり「主観としては軽いとはいえない」というコメントが印象的でした。Haruさんのイライラ解消法や感情を吐き出すことのメリットについてもお聞きしました。
仕事のこと
— どのような仕事をされていますか?
コピーライターとして広告制作会社に勤めています。具体的には店頭ツールやカタログ、Webサイトなどの企画やライティングの仕事が多いです。働き方としては、100%出社をしていて、基本的には座り仕事です。前は、外出してお客さん先に行くことも多かったんですけど。
日常生活は送れるけれど、自分の感覚としては軽いとは言えない
— 生理の症状について教えてください。
ネットとかで調べたりして、辛い人の体験談とかをみると、自分はそこまでじゃないなと思ったりはします。普通に生活はできる程度ではあるけど、でも、気にならないかというとそうではない。だから、自分の主観としては軽いとは言えないですね。
— 生理痛はありますか。
あります。生理痛で言うと痛いもあるし、私は割と精神的な揺れがあります。メンタルの上下が一番悩んでいるところですかね。

辛いのは、感情の浮き沈み
— 生理で不快に感じることは何ですか?
気持ちが沈むのはすごく嫌だなっていまだに思います。ちょっとしたことでイライラしたり、泣きそうになったりとか、悲しくなったりとかしちゃうのはやっぱり辛いし嫌だなって思う。体も嫌なんですけど、頭が痛いのも薬飲んでも効かないこともあって辛いですし、ただ、感情の方がそれを凌駕するぐらい辛いかもしれないですよね。
体のことで言えば、これも折を見て誰かに相談したいと思ってることの一つですが、生理中も多少頭痛かったり腰が痛かったりがあるんですけど、生理が終わった後1週間くらいが結構辛いことが多くて。生理が終わった後って、痩せ期だといわれているのにすごい体重が増えちゃったりとか。お腹がゆるくなっちゃったりとかもあります。
原因をネットで探してもあんまり情報が出てこないので、多分ホルモンバランスが乱れてるだけなんだろうなって思いつつ、あんまり出てこない情報だからみんなと違って嫌だな、不安だな、みたいな。
— 市販の鎮痛剤は飲んでいますか?
フェリア*というお薬を飲んでいます。ただ、それが前は薬局で普通に安い値段で買えたんですが、最近売っていなくて。ネットでも少なくなってきていて。
— フェリアを飲み始めたきっかけを教えてください。
母が飲んでいたんですよね。飲み始めたのは中学生くらいだったと思います。それが効くって言われて、他を試すまでもなくずっと飲み続けていました。自分自身にも効くので、ずっと飲んでいて、これがなくなったら困る薬の一つなんですけど、販売されなくなりそうなので心配しています。
* feria(フェリア)
アリナミン製薬が販売するイブプロフェンの鎮痛・解熱薬。細粒。第2類医薬品。
— 生理休暇を使ったことはありますか?
生理休暇という概念は、多分会社にはないです。私自身は、生理と言って遅刻したことはないかな。生理が直接的な原因で休んだこともないと思います。
— 生理にまつわることで、職場で気になることはありますか?
オフィスの作りが、ちょっと不思議で。部屋の中にトイレがあるみたいな、ワンルームで、その中にトイレがあるみたいな間取りってあるじゃないですか。職場はワンルームじゃないんですけど、廊下とかじゃなくて、大きな部屋の一番奥にトイレがあるんですね。だから、生理だけではないですけど、トイレに頻繁に行ったりとか、長居したりとかするのがちょっと嫌だなって思います。結構、音姫の音も聞こえちゃうくらいの感じで。

感情を揺らすことの方が恥ずかしかった
— 初めて生理になった日のことを覚えていますか?
小学校5年生くらいだったと思います。小学校の時は全然辛くなかったんですよね。「生理痛って何?」みたいな感じで。周期も割りと最初から安定していた気がして。ちょっと子どもながらに気持ち悪いけど、別にそこまで不快でもなく…みたいな感じで過ごしていました。中学生くらいかな、しばらくしてからだんだん重くなっていって。今も含めてだんだん重くなっている感じかもしれないですね。
— 初めて生理になった時、最初に誰に伝えましたか?
お母さんに言いました。割と冷静で、ナプキンの使い方を教えてもらったっていうのはあるんですけど、こうだから生理になってね、みたいな性教育みたいなのはなく、ナプキンの使い方を教えてもらったぐらい。親の反応も、たぶん冷静でいようとしたんだと思うんですけどフラットでした。
— 家族からお祝いの言葉はありましたか?
言われたのかもしれないけど、覚えてないです。
— 生理が来ると、お赤飯でお祝いという慣習もあります。お赤飯でお祝いしましたか?
お赤飯は食べたと思います。けど、それを「お祝いよ!」みたいな雰囲気はなかったかな。生理になって、そういう時はお祝いで食べるんだよ、というのを教えてもらったのかな。でも、割と母と私の秘め事みたいな感じでした。
— 「母と私の秘め事」ということですが、お父さんとは生理について話しましたか?
私は言わなかったですし、そのお赤飯の場でも生理の話は出なくて。ただ、お赤飯て、我が家では要所要所で出るメニューだったので、すごく特別な食べ物ってわけでもなくて。今日はお赤飯なんだね、っていう感じの空気だったんですけど、裏で母が父に言っていたかどうかは知らないです。
— 生理が来たということに対してどのように感じましたか?
私は割とこう、生理が来たということに対して、ある種、思春期っぽいのだと思うんですけど、私は別に何も気にしていないし、恥ずかしくもないし、喜びもしないし、「あ、そいうのが来たのね」って受け止められてるように見せたかったのかな。取り立てて、感情を揺らすことの方が自分としては恥ずかしくて、「全然大丈夫です」みたいな感じだったので、「言わないで」ともたぶん言わなかった気がします。
お赤飯出された時も、それが恥ずかしいみたいなのもなくちょっと大人びて構えていて。でも、もう少し経って冷静になってから、「ああいうお祝いって恥ずかしいな」とかちょっと思った気がします。
— 当時、生理についての知識はどのように知りましたか。
保険の授業とかだと思います。ただ、そんなにその時深く理解はしていなかったと思います。そういうのが、女の子はこのくらいの歳になったら来るんだな、ということを知っていたくらいの話で。
すごく、自分の中で覚えているのは、スポーツブラ。肌着みたいな、最初につけるブラみたいなのあるじゃないですか。あれを、あの子はつけてる、つけてないみたいな感じで、ちょっとそわそわするのが4年生、5年生くらい。生理よりそっちの方が早くて。
「そろそろ考えなきゃね」というような話は親としていました。だけど、私はブラをつけるより前に生理が来たんですよね。だから、ブラをつけていた子は先に一つ気持ちが大人になってから、その後に生理が来てる気がしていて。大人の準備を一歩踏んでからというか。私はそれより前に来ちゃったから、なんか順番逆…みたいな。逆じゃないけど(笑)。「私みんなと順番逆だ」って、なんだかえも言われぬ感情になったのを覚えています。

生理用品の使い方、選び方
— 生理用品はどんなものを使っていますか?
私は、紙ナプキンを使っています。
— タンポンや吸水ショーツを使ったことはありますか?
吸水ショーツは、興味はあるものの使ったことないです。タンポンは、高校生くらいの時に手術で下半身麻酔をするときに使わなければいけなくて。手術の時にたまたま生理で、ナプキンはできないって言われて、先生にタンポンかオムツでみたいに言われたのかな。で、できればタンポンにして欲しいって言われて。
でも、怪我をしている中で自分でうまく入れられなったことがややトラウマで。その時の嫌な記憶が結構あって、タンポンはもう、その後挑戦さえしなかったです。
— 機会があったら使ってみたいと思っている生理用品はありますか?
吸水ショーツは気になってます。
— 生理時の経血量はどのくらいですか?
1日目くらいはやや少なくて、2、3日目くらいで多くて、5日目くらいになるともうほとんど出ていないけどややある、くらいだから(ナプキンを)外せはしないな、ていう感じで。ちゃんと終わったなって思うのは7日目くらいですね。
— 生理用品は家のトイレにありましたか?
置いてありました。女の人が使うものだけど、なんか触れちゃいけない何かみたいな気がしていて、それが何なのかを聞いたことはなかったかもしれないです。
— 生理用ナプキンは、CMで見る機会があったかもしれません。「これは何?」と親に聞いたことはありますか?
聞かなかったです。聞いていいかわからないことは聞かない子でした。だから、あんまり聞かなかったかな。 うちの親も、今と時代が違うのかもしれないですけれど、性教育とか生理のこととか身体のことも、積極的に教えようみたいな感じが全然なくて。実際は、どう思っていたかはわからないんですけど。だから、そういうのを親から積極的に教えてもらったみたいな記憶はありません。
私は私でなんかよくわかんないことを聞きたくないっていうか聞けないタイプだったので、あんまり親とそういう話をすることってなくて。ナプキンは本当に実生活に関係があるから教えてもらったことだし。
— ナプキンのメーカーや種類は、どのように選んでいましたか?
最初は、親が買ってきたものを与えられたという感じで。親がそれを使っていたものかどうかはわからないんですけど、それを何の疑問もなく使い始めて、たぶん、羽ありも羽なしもあったんですよね。で、両方使ったり、重たい、軽いみたいなのであるものを使い分けたりしているうちに、「私は羽付きの方がいいな、不安がないな」と思って。
それがいつだったかは覚えていないんですけど、お母さんに買ってもらっていた時に、やっぱり羽がある方がいいみたいな話とかは要望として親に伝えた気はします。
— 今はどのメーカーのナプキンを使われていますか?
実は、私は未だ当時と同じものでソフィを使っています。ソフィの、(編集者注:オーガニック系ではない)普通のラインです。ライナーもソフィかもしれない。ソフィは大丈夫だと思って。
ソフィでも、スポーツタイプや薄いタイプを使った時に荒れてしまったり、たまたまソフィがなくていつもと違うメーカーのナプキンを使うと被れちゃうことがあったりして。別に肌がデリケートな方とかではないのですが。結局、ナプキン選びもちょっと失敗すると、もうすぐ冒険しなくなっちゃう(笑)。

生理中の過ごし方
— 生理が来たことは、友達同士で話したりしましたか?
親しい友人には「いま、生理がきそうで体調がつらい」という話を打ち明けることもあります。言ってどうなるわけではないけど、いたわり合えるだけで救われることもあるなと感じています。
— 生理の周期は安定していますか?
比較的安定はしているのかなと思います。管理としては、紙の手帳にチェックは入れてます。排卵期とか、危険日どうとか、そういうのもちゃんと知らなきゃなと思って。前は1回アプリを入れて、半年くらい便利だなと思って使っていましたけど、今は使っていないですね。
— 排卵期を知りたいという場合もありますし、次の生理のタイミングを気にしたりしますよね。記録をつける目的を教えてください。
次に来るのはいつかな?もありますけど、結構、気持ち的に不安定になるのが、私は生理の1週間ぐらい前からだったりするんで、予定決めたりとかする時とか、仕事のこと考えるときとかに、この時期、たぶん私落ちてるな、というのを予め知っておくためというような感じでしょうか。
— 気分が落ち込んでいる時は、どのように過ごしていますか?
無理しないようにしようって思います。そういう期間は、がんばらなくていいご褒美期間だと思えばいい。だから、いつもやっていることさえやらなくていい時で、今日はがんばらなくていいラッキーデイぐらいに思って、自分甘やかし週間だと捉えるようにしていますね。
思う存分自分を甘やかそうとします。がんばれなかったらがんばれないし、疲れちゃったらやらなきゃいけないことあるけど帰ってもいいか、みたいな。
— 気持ちの浮き沈みに対処できるようになったきっかけはありますか?
浮き沈みが辛いなって思うようになったのは、中学生くらいの時ですかね。生理とはずれるかもしれないんですけど、結構呼吸が苦しくなることが多くって。過呼吸とかではなくて、息を吸えていない感じ。ずっと呼吸が浅いみたいな感じで、病院に行ったら、自律神経の乱れだからというように言われたと思います。中学生なりに色々悩んでいた時期ではありました。
そういうこともあったせいか、当時から、自分は小さなことをずっと気にしちゃうし、それが体の不調として出やすいほうかも、と感じていました。生理に限らず、気持ちに波があるというモヤモヤとはずっと付き合ってる感じなんですよ。それにどこからか生理が入ってきたかはわからないんですけど。
私は今ヨガをやっているんですが、心と体って本当に繋がっているんだなって、ヨガを始めてからより思うようになりました。心をケアするために体をケアするみたいな側面が大きいですね。心が辛くならないために、がんばらない、体を休ませるみたいなことをするようになっていて。それでも、そうは言ってもやらなきゃいけない仕事もあるし、イライラもするし、甘やかしてもいいなんて上手にもできない時もあるんですけど…。
書くことで感情を流し出す
— 気持ちが落ち込んだ時に、何か対処していることはありますか?
私、辛い時に、めっちゃ書くんですよ。何が辛いのかを書くことで感情を流し出すんです。色々書いて、何にモヤモヤしてるのかとか、今何が不安なのかとか、イライラしてんのかっていうのを、思うがままに、でもできるだけ事実として書いていく。
これはこうで嫌で、それはこれが気になったから、で、私はこういう感情になった、これが気に食わない、みたいなのを、手書きで書き出します。事実とか、感情も分けながら書いて、どんどんどんどんクリアにしていくと、あ、今私が悩んでいるのは、この部分が感情で、この部分はどうにか対処できるし、これは悩んでてもしょうがない部分だ、とかがわかってくるんです。
大したことないのにこんなに心が揺れ動くのはホルモンのせいなんだ、とかっていうのがはっきりすると、なんかもうしょうがないかな、みたいな気持ちになります。ただ、生理前にそういうことをする時間さえ自分で取れなかったりすると、苦しいのが溜まってくんですけど、「あーもう無理!」ってなると、そういう時間を無理矢理にでも作って書きます。
— 人に話すというよりは、書くことを通して感情を出しているんですね。
近しい人には話すし、それで救われることもあるんですけど、そういうことを話しちゃうと、自己嫌悪というか、相手に悪かったかなと思うことがあるので。せっかく会ったのに、ネガティブな話ばっかして嫌だな、とか、そういう暗い私どう思われているんだろう、とか考えてしまいます。
— 文章を書くなど、言葉にしていく作業は昔から好きだったのでしょうか?
好きだったと思います。作文の授業とか、新聞を作る授業とかは、ああいうのは好きでしたね。昔から感情を整理する時、文字に書くことは多かったかもしれないです。それと、ヨガを通して心と体が繋がっているんだという学びとが相まって、少しずつ、上手に付き合えるようになってきたかな、みたいな感じですね。

生理の悩みと産婦人科
— 気持ちの浮き沈みなど感情面の悩みで婦人科を受診したことありますか?
婦人科はないですが、心療内科とかカウンセリングとかは調べたことがあります。受診したことはないですが。あと漢方とかも調べていました。感情面で婦人科を受診しようって思ったことはないですね。
— 漢方薬を処方してもらったことはありますか?
半年くらい前から飲み始めました。はじめは生理のためではなかったのですが。ずっと気にはなっていたんですけど、合う人合わない人とかもあると聞いていたので、きっかけをつかめなくて。
実は以前コロナにかかったのですが、その後、後遺症で脱毛がすごかったんです。ものすごく抜けちゃって、このままだと髪なくなっちゃうぞと思うくらい。それで、内科と漢方と両方見てくれるようなクリニックを探して、脱毛の薬をまずはもらって、もともと漢方も気になってたという話を先生にしたんです。
そうしたら、まず後遺症が落ち着いた段階で、生理の時とか、気持ち的に鬱っぽくなっている時とかに、落ち着くような、よく眠れるような漢方を処方してくださいました。それが直接的に効いたのかはわからないですけど、楽になった気がします。漢方を飲み始めたのは去年の冬くらいからなので、まだ半年くらいですけど、なんとなく効果は感じてるので、漢方は自分の体に合ってたのかなって思ってます。
— 婦人科にはどういうイメージがありますか?
今の考えは違うんですけど、何年か前までは婦人科で生理が辛いっていうとピルを勧められるんじゃないかという心配はありました。ピルも人によって合う合わないという話も聞くし、そこまで重くないのにピルは嫌だな、怖いな、と思っていました。婦人科に行ってもその解決策しかおそらくないだろうから、だったら行かなくてもいいかなと。
だけど、今、もっとピルがライトになってきている気がしていて。ちょっと視野に入れて調べてもいいのかなって。そしたらきっと婦人科も選択肢に入ってくると思うんですけど、「やや気になり」くらいのところに今来ています。
— 生理に関する情報を探したい時は、どのようにしていますか?
比較的、最近、情報が勝手に入ってくるようになってきたなっていう気はしますけど、基本的には気になった時に検索して、知る、みたいな感じなのかな。まとまっていつも見ているサイトがあるとかは、ないですね。
小学校の時に女の子だけで集められてとか、中学校でも習った気がするんですけど、あの時ってリアリティがなかった気がしていて。自分が生理でもそこまで悩みも深くないし、自分の人生とか出産とかみたいなことにリアル感がなかったので、ああ女の人ってそうなんだな、とかは思いましたけど、時が経てば忘れちゃって。
ほんとに必要になった時に学びの場にいないんですよね。特に最近、情報もたくさんある中で自分のことなのに自分で知らないっていうのちょっと恥ずかしいなとか、もっとちゃんと知ってないと怖いな、と思うことはあります。知るようにしなきゃとは思いながら、重たい悩みがないと検索しなかったりとか、自分ごとじゃないとなかなか真剣にならない。
だから、男と女ってこう違ってねとか、大人でさえ説明しろって言われたら明確に説明できないかもしれないことを、体系的に全部丸っと基礎知識を一から教えてくれる場所があるといいなと思います。
※語り手の年齢、所属、生理の症状など掲載内容は取材当時のものです。